常に競合他社の一歩先を行く組織と、追いつこうと苦戦している組織の違いは一体何でしょうか? 大抵の場合、その答えは、技術や市場戦略ではなく、チームの能力にあります。
どのようなソフトウェア組織においても、イノベーションと効率性の原動力となるのは、パフォーマンスの高いチームです。こういったチームは、複雑な企業構造の中でも効率的に業務を進め、高品質のソフトウェアを生み出すことで、優れたパフォーマンスを達成します。また、相反するニーズのバランスを取り、変化する技術に適応し、組織における多様かつ、しばしばサイロ化された部分にもうまく対応します。
パフォーマンスの高いチームに、さらに多くの責任と自由を与えると、より短時間でより良い結果を達成し、組織目標の達成までの時間が短縮されます。当事者意識が高まることで、チームメンバーのエンゲージメントとモチベーションも向上し、大抵の場合、チームメンバーによってイノベーションが牽引され、新機能や新製品の開発が進みます。
このようなチームがもたらす利点は、開発されるソフトウェアだけにとどまりません。他のチームの模範となって、ベストプラクティスを共有し、組織全体のパフォーマンスを向上させます。
優れたソフトウェアチームの育成
パフォーマンスの高いチームは偶然できるものではなく、綿密な計画、強力なリーダーシップ、そして卓越性を重視するカルチャーを通じて構築されます。エンジニアリングリーダーは、以下に紹介する重要な戦略に従うことで、パフォーマンスの高いチームを育成できます。
卓越したパフォーマンスを実現しているチームを特定する
常にパフォーマンス基準を上回っている開発チームを特定し、そのチームのリーダーから、どのようにプロセスを改善したのかをヒアリングしましょう。そのチームとの関係を構築し、他のチームのお手本にできます。
明確かつ達成可能なチーム目標を設定する
組織のビジョンに沿った、明確かつ達成可能な目標を設定すれば、パフォーマンスの高いチームは、その達成に向けて前進します。目標には期限を設定し、具体的かつ測定・達成可能で、関連性がある内容でなければなりません。
チームに意思決定の権限を与える
権限が与えられたチームは、柔軟性に優れ、適応力があります。ツールの選択、ワークフローの設計、優先順位付けなど、自分たちの業務に直接影響する意思決定プロセスをチーム内で管理できるようにしましょう。そうすれば、開発環境が効率化され、全体的なデベロッパーエクスペリエンスが大幅に向上します。
心理的安全性と当事者意識を育む
信頼は、パフォーマンスの高いチームの基盤です。また、チームメンバー間で強い信頼感を生み出すためには、率直なコミュニケーションも不可欠です。チームメンバーが安心してアイデアの共有やフィードバックの提供を行い、それぞれが責任を負えるような文化を育みましょう。定期的なチームミーティングやフィードバックセッションを開催すれば、チームでパフォーマンスを振り返り、改善策を見つけやすくなります。
継続的な学習に投資する
優れたパフォーマンスを発揮できるチームは、常に改善策を模索しています。継続的なトレーニング、認定、その他の学習リソースへのアクセスを提供して、チームメンバーの技術スキル向上を支援しましょう。これにより、スキルアップを望む経験豊富なデベロッパーを含め、チームメンバーに対し、キャリアアップのための貴重な機会を提供できます。
協調的な職場環境を育む
成功を収めるには、チーム内およびチーム間のコラボレーションが不可欠です。プロジェクト管理ツールやリアルタイムコミュニケーションプラットフォームを使用すると、チームワーク、ドキュメントの共有、プロジェクトの進捗状況の追跡を簡単に行えます。協調的な職場環境では、多様な視点がもたらされるため、複雑な問題を解決できます。また、人間の創造性と最新技術が組み合わさることでイノベーションが促進されます。現在、特に先見の明のあるチームは、生成AIツールを使用して、どのようにコラボレーションを強化し、慎重かつ戦略的な方法で生産性を高められるかを検討しています。
優れたパフォーマンスを認めて報いる
パフォーマンスの高いチームは、努力が認められる環境において成長します。大小を問わず、功績を認めるシステムを確立しましょう。具体的には、正式な表彰プログラム、パフォーマンスに基づく賞与のほか、単に公の場で優れた成果を認めることなどが考えられます。卓越したパフォーマンスを認めることで、チームのモチベーションが高まり、成功につながる行動や習慣が促進されます。
パフォーマンスの高いチームが戦略的に不可欠な理由
調査によると、DevSecOps プラットフォームの導入など、パフォーマンスの高いソフトウェアチームを構築するための対策を行った組織では、デベロッパーのオンボーディングの高速化や脆弱性の修正の効率化など、さまざまな利点を得ています。そして、そのすべてがビジネス上の競争優位性につながっています。
戦略的価値は、目先の生産性向上にとどまりません。多様な視点を持つ機能横断型チームは、複雑な問題を解決するイノベーションを推進し、多くの場合、サイロ化されたアプローチでは見逃される新たな市場機会を特定できます。おそらく経営陣にとって最も説得力があるのは、乗数効果でしょう。パフォーマンスの高いエンジニアリングチームを1つ作るために投資すれば、チームの効果的な業務の進め方が組織全体のパフォーマンスを向上させるテンプレートとなり、スケール可能なフレームワークを確立できます。
卓越したパフォーマンスを後押しし、適切なリソースが提供される企業文化は、パフォーマンスの高いソフトウェアチームを構築する基盤となります。チーム全体が共通の目標を持ち、それを達成するための自主性があれば、素晴らしい成果を達成できます。
次のステップ
Building a resilient software development practice
Learn strategies to bolster your team's effectiveness amid shifts in the industry with a standardized approach to software development.
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Frequently asked questions
主要なポイント
- 優れたパフォーマンスを発揮するソフトウェアエンジニアリングチームは、組織における複雑な課題にうまく対処し、優先順位のバランスを取り、新しいテクノロジーに適応しながら、高品質のコードを作成することで、イノベーションを推進します。
- 自主性と当事者意識を持つチームは、より多くの価値を迅速に提供し、ビジネス目標に向けた歩みを加速し、イノベーションの最前線に立てるようにエンゲージメントを促進します。
- パフォーマンスの高いチームは、ソフトウェアを開発するだけでなく、ベストプラクティスを広める素晴らしいお手本となります。結果として、組織全体でパフォーマンス基準が上がります。